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ヨーロッパ最優秀ワインメーカー受賞、セプシを訪ねて

Mr.Szepsy István
the Best European Wine Producer 2022
2022年10月14日から16日、イタリアのフィレンツェで、The 2022 Golden Vines® Awardsが開催され、世界の名だたる名ワイナリーがノミネートされるなか、ハンガリーからあの名ワイナリーが、ヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞に輝きました。
The 2022 Golden Vines® Best Fine Wine Producer in Europe Award: Szepsy Winery, Tokaji, Hungary
Wine Industry Network
ヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞に輝いたのは、ハンガリーでも最高峰のトカイワイナリー、セプシの『セプシ・イシュトヴァーン』氏です。
ヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞を受賞した『セプシ』

セプシ・ワイナリーがヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞を受賞した直後の2022年11月22日の早朝。
私たちハンガリーワイン協会ファウンダーのふたりと、副会長タマーシュさんのワイン友達の方。
ハンガリーの地上波テレビ局で自身の冠番組を持つほど、この国では有名なダイエットドクターの方と三人で、ブダペストから車で発ち、一路トカイへ。
私たちはセプシ・イシュトヴァーン氏と同氏のトカイ・マードにあるワイナリーで直接お会いする尊い機会をいただきました。
セプシワイナリーの外観

マスター・ソムリエ(MS)、マスター・オブ・ワイン(MW)、OBE(大英帝国勲章)、世界最優秀ソムリエと、世界最高峰の5つのワインタイトルを受賞し、前人未到の偉業を成し得た、故・ジェラール・バッセ氏。
そのジェラール氏の遺志を受け継ぎ、運営されているジェラール・バッセ財団が、世界最高峰のワイン生産者を讃えるために毎年、開催しているワインコンテストが、The Golden Vines® Awardsです。
同ワインコンテストで世界最高峰の称号にひとしい、ヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞を2022年10月に受賞したのが、トカイのセプシワイナリーなのです。
セプシ・イシュトヴァーン氏と初対面の瞬間
セプシワイナリーの創始者で、ハンガリーおよび世界でも熱烈に支持されているトカイの偉大なワインメーカー、セプシ・イシュトヴァーン氏に、筆者はこの日ようやくお会いすることができました。
ブダペストを朝7時に発ち、車で移動すること2時間ちょっと。
写真は、セプシワイナリー到着時、門のところまでお出迎えくださった、イシュトヴァーン氏と、入口付近で記念撮影していただいたときのものです。
写真右側にうつる初老の男性が、セプシ・イシュトヴァーン氏、真ん中がドクター・タマーシュ氏(筆者は一番左です)。
独特かつ多様性のあるテロワールが世界最高峰の白を生む

足元にある石は、セプシワイナリーのブドウ畑で採取した、主に火山岩の石たち。
トカイの土壌は、1500万年前から600万年かけて火山活動によって作り上げられたものだそうです。
それらは主に流紋岩、安山岩質凝灰岩、黄土などで、トカイの多様性あふれる土壌ではぐくまれたブドウを原料に造られる白ワインは、極めて個性豊かな、そして複雑な最上級の味わいになります。
2022 年 10月、ヨーロッパ最高のワイン生産者に贈られる、2022 年 Golden Vines® Hall of Fame Award を受賞した セプシ・イシュトヴァーン氏(István Szepsy )。
彼いわく、一貫した美学のある仕事ぶりとテロワールへの真の敬意があれば、貴方(すべてのワインメーカーに向けて)も最高のワインメーカーの仲間入りをすることができるのだそうです。
同氏は私たちにそれらの石を見せながら、トカイのテロワールがワインに唯一無二の個性と極上の味わいをもたらすことを教えてくださいました。
人生の美学を持つ孤高の天才醸造家、セプシ・イシュトヴァーン氏

写真はセプシ・イシュトヴァーン氏と、横にあるのは、The 2022 Golden Vines® Best Fine Wine Producer in Europe Award受賞の記念トロフィー(にあたるもの)。
イシュトヴァーン氏は、自分自身のことをとてもツイている、幸運な人間だといいます。
ブドウとともに人生があるー彼にとってブドウ栽培は幼い頃から彼の人生の一部であり、それは今日でも変わらないそうです。
セプシ・イシュトヴァーン氏がワインメーカーとして世に出るきっかけとなったのは、元雇用主のアントニー・ワン氏の存在をなくして語れません。
華僑出身のアントニー・ワン氏は、トカイのビオディナミック認定ワイナリー、キラーイ・ウドヴァ―ルのオーナーで、フランスのロワール地方にもワイナリーを所有している、いわゆる大富豪の方です。
キラーイ・ウドヴァ―ルの外観

実は筆者と同僚のタマーシュ氏は、2021年、アントニー氏の所有するトカイのワイナリーで、幸運にもお会いすることができました。
メディアやSNSなどには一切、出演することを嫌い、ハンガリーのワイン業界でもほとんどの方がお会いすることすらできないという大富豪のアントニー氏。
正攻法でアポを取りにいくと、秘書の方から100%お断りの連絡が来るでしょう。。
2021年の秋、私たちは一泊二日で、他のワイナリーを訪れるため、トカイに滞在していました。
トカイからブダペストへ帰る日の午前中、ホテルの付近を散策していたら、キラーイ・ウドヴァ―ルの入り口にふとたどり着きました。
何を思い立ったのか、同僚のタマーシュさんが、入口にあるベルをダメ元で鳴らしてみたところ、チャイムに出てくださった秘書の方が『今日はアントニーはここ(ワイナリー)におりますので、お取次ぎしましょうか』とのこと。
ありがたくお願いをし、先に待合室に通された私たちは待つこと5分。
奥にある執務室からこちらへ向かって歩いてこられるアントニー氏。
普段はアメリカ、フランスと世界中飛び回っていらっしゃる方のため、お会いできたのは本当にラッキーでした。
超多忙で滅多に誰ともお会いされない方のため、お目にかかることができるだけでも大変光栄でしたが、同じアジア人ということでご興味いただけたのか、1時間半もいろんなお話をしてくださったのです。
さらに、彼の素晴らしいビオディナミックワインラインナップの中でも最も高品質かつ優秀なのシングルヴィンヤードの辛口白、スイート(エーデシュ)サモロドニ、最後はトカイアスー6プットニョシュまで無料で試飲させてくださいました。
世界最高峰の貴腐ワイン、セプシのトカイ・アスー

そういうわけで筆者自身は、セプシ・イシュトヴァーン氏とお会いする2年前。
イシュトヴァーン氏の元雇用主であった方の口から、若き日のワインメーカー、イシュトヴァーン氏の話、同氏との思い出話をお聞きしていたという、なんとも不思議な経緯といいますか、不思議なご縁がありました。
話が少しそれますが、コロナ以前、確か2018年ごろのこと。
当時、ハンガリーの日系企業にお勤めしていた、知人の日本人女性から突然、『私、セプシのジュニアと知り合いなんだけど~(ちょっと上から、ワインマウント取る感じ…)、Hidekoさん、一緒にセプシワイナリーに行きません』とのお誘いが。
トカイのセプシについては、ワイン好きでないハンガリー人でも、トカイワインといえばセプシというくらい、ほとんどのハンガリー人がその名を知る、国民的スターのような存在のワイナリーです。
当時の筆者はまだ、ハンガリーワインのPRをはじめて半年も経たない頃でしたが、さすがにセプシについてはもちろん知っていました。
ただ、その時、その彼女からワイナリー訪問(移動交通費代含む)プラスワイナリーでのテイスティング料ということで提示された金額が、現地価格でかなりの高額でしたので、
『いや~残念、その日は用事がありまして~』、というお決まりの逃げ口上で、セプシワイナリーの訪問をご遠慮した過去がありました。
本当にしょうもない余談で恐縮です…が、
2018年から4年後の冬の初めに、まさか私自身が、セプシの当主であり、ヨーロッパ最優秀ワイン生産者賞に輝いたセプシ・イシュトヴァーン氏ご本人から、直接お招きいただけるようにまでなるとは…まるで夢のようですね。
天才醸造家、イシュトヴァーン氏の貴賓室で

2022年11月の初訪問では、イシュトヴァーン氏の客人枠とでもいいましょうか。
ありがたくもご招待いただき、同ワイナリーの貴賓室で、セプシのエッセンシアまで、確か7種類くらい試飲させていただきましたが、いずれも無料でふるまっていただけたのです!
嫌味な話で失礼いたしました。
セプシワイナリーをご自身で訪問されたことがある方なら、ワイナリーでのテイスティング代がいかほどか、お分かりでしょうから。。
上の写真の真ん中にいらっしゃる方が、トカイワイン産地が生んだ “ 天才 ”醸造家のセプシ・イシュトヴァーン氏。
同氏の貴賓室でミーティング&テイスティングの合間に、記念撮影させていただいたときのものです。
イシュトヴァーン氏のご子息で同姓同名のジュニアさんとも記念撮影

ハンガリーワインのPRを始めて苦節7年目。
このようなワインの神様からのご褒美的な、とても幸運なご招待をたま~に、ですが、招待を受けることもあるので、なんとか今までやってこられたのかもしれませんね。
2018年、知人女性から金額を提示されたあの頃と今日、私自身は特に何も変わりませんが、こんなに(周囲からの)待遇が変わるようになるとは、本当に不思議です。
真上の写真、左側に映る方が、2018年当時、知人女性から話にのぼった、かのジュニアさん。
手前に並んだセプシのワインすべて、テイスティングさせていただくことができました。
次回はセプシ家の歴史と、テイスティングメモ♪

フィノマガジンで掲載しているワイナリー紀行は基本、1ワイナリー1記事を原則に投稿してきましたが、セプシ家のワインヒストリーをお伝えするには、かなり文字数を要しますので、セプシのワイナリーレポートは2回にわたってお届けします。
セプシ家のワインヒストリーと、テイスティングメモについては次回のレポートで!
世界三大貴腐ワイン、エッセンシアまでふるまってくださったイシュトヴァーン氏、本当に感謝です!
エッセンシアのティスティングメモについても、次回のレポート記事で、どうぞご期待ください。
取材撮影文…Papp Hideko
ブダペスト在住ワインエッセイスト、フィノマガジン、フィネスワインピア運営者、ハンガリーワイン協会・会長兼クリエイティブディレクター
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