ハンガリーの70年代、ファッションに息づく、古き良き時代

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ハンガリーの70年代、ファッションに息づく、古き良き時代

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Photo by Maksym Kaharlytskyi on Unsplash

時代を感じさせるその色みや、素朴な感じが気に入って根強い人気がある東欧の古い雑貨。

食器やファブリック、絵本など可愛らしいものが多いので、思わず手に取ってみると、遠い昔に思いを馳せて懐かしい気持ちになったことはありませんか?

そして、独特な雰囲気を放って、見ているだけでも癒されるレトロな雑貨たちは、実は、私たちが知らない社会主義時代に作られたものが多いのです。

今回は、その時代に子供時代を過ごした、ハンガリーの才能あふれるデザイナーTomcsanyi Dóriさんが立ち上げたブランド、TOMCSANYIが魅せるユニークな世界観とその魅力についてお届けします。

想い出をデザインする、ユニークな視点

TOMCSANYI
画像出典元 Photo by © TOMCSANYI.hu

ミニマリストと折衷主義を取り入れた、スタイリッシュな作品がユニークなファッションブランド、TOMCSANYI

レトロな雰囲気と一風変わったテキスタイルのプリント柄が印象的で、イタリアから取り寄せる上質な生地を使って形作られるすっきりしたラインは、女性らしさを引き出しています。

そのスタイルは、ルーズでありながらシンプルで、70年代を想起させる要素に東欧の感覚を取り入れながら、モダンに表現しています。

ひときわ目立つ、そのテキスタイルにプリントされた図案は、東欧で古き良き時代を過ごして育った、ブランド創立者Tomcsanyi Dóriさんの思い出を源に着想して、大学時代のクラスメイトだったデザイナーのViola Balázsさんと一緒にデザインしてきたそうです。

TOMCSANYIのコレクション、そのテーマは主にハンガリーについてのトピックを取り上げているとのこと。

生き生きと描かれた図柄には、ハンガリー人の暮らしの中にあった身近なもの、懐かしいものや、楽しかったイベントなどがデザイン化されています。

古き良き懐かしい想い出から、インスピレーションを得る

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Photo by Adam Sherez on Unsplash

キャンプの想い出からインスプレーションを得て、ハンガリーに生息する鳥や山頂、オークの葉などのモチーフを採用。

また、釣りに行った思い出からはたくさんの魚が勢ぞろいした柄や、夏を過ごした楽しい思い出からはヨーロッパの避暑地で有名なバラトン湖が波打つ様子を表現したデザインなどなど。

日光浴に欠かせなかったアイテム、ゴムのベッドに描かれたオシャレな模様。

他にも、ハンガリー人なら誰でも知っているであろう、学校の給食でも使用されるメジャーな食器メーカー・アルフォルディポーセラーン(Alfoldi pporcelain manufacture)社の陶器図案など、実に多様なモチーフをコレクション全体に散りばめています。

人々の心の中の、懐かしさを呼び覚ますデザイン

TOMCSANYI
画像出典元 Photo by © TOMCSANYI.hu

また、“目の錯視”を利用して“延々と続く階段”を表現した、70年代製の地下鉄3号線構内を行き交う人の様子を描いたもの。

また、ハンガリーワイン文化へのリスペクトをブドウに表現して版画として仕上げられたものをデジタル加工したものなど、ハンガリーの特産品と文化に新しい視点を取り入れて描写するテキスタイルは斬新です。

図柄の背景にある物語を知るほど、情趣あふれる東欧への想像はかきたてられ、過ぎ去ったファッショントレンドの要素を作品に取り込むことによって、見る人の中にある懐かしさ(Nostalgic)を呼び覚ます。

そんな独創的な世界観へ引き込まれるような魅力がTOMCSANYIにはあるのではないでしょうか?

シンプルな中に浮かび上がる、東欧の気品

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Photo by Volha Flaxeco on Unsplash

TOMCSANYIの商品はハンドメイドにこだわって作られるため、同じ商品でも手作業による個性が生まれるそうです。

生地選びからテキスタイル図案のデザインとプリント、縫製と仕上がり、その後の修理サービス、とすべてにわたって職人気質が貫かれています。

それは、一流品を作るために注ぐ情熱をさらに昇華させて、サステイナブルファッションを意識し、デザイン、工程、素材、労働環境に配慮し、持続可能な社会を実現するための活動へも向けられたこだわりともいえるのではないでしょうか。

  • 注文後に服の製作に取り掛り、余剰在庫を減らす生産スタイルや、天然素材を選びその染色や加工方法がエコであるこだわりを持つこと。
  • シンプルなデザインでありながら、テキスタイルの素材や図柄に新鮮さと遊び心を取り入れオリジナル性を高めること。
  • 丁寧な縫製を行うこと。

それらのことを通して、長く使える商品を作るというこだわりが、TOMCSANYIの作品を一つ一つ、よりユニークなもへとするのでしょう。

それは、ファストファッションでは表現できない温かみを創り出し、その気品を高めてくれることへつながります。

走りだした才能は、止まらない

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Photo by Priyanuch Konkaew on Unsplash

Tomcsanyi Dóriさんが大学時代に行ったプロジェクトの作品が、UKで活躍するファッションブロガーStyleBubbleに注目され、“StyleBubble”のファッションブログに投稿されたことをきっかけにファッション界で注目を集め、彼女が大学を卒業する1年前=2012年にブランド化に至ったTOMCSANYI。

その後は、海外にもブランドの名は知れ渡り、国際見本市にも参加。

2014年にはTomcsanyi Dóriさんがハンガリーデザイン賞受賞と、同ブランドは目覚ましい躍進を遂げ、現在はブダペストを拠点にロンドンとニューヨークに店舗を構えながら活動の場を広げています。

近年は、ファッション業界がCovid-19の影響を甚大に受けながらも、Tomcsayi Dóriさんのクリエイティブな発想はとどまることはありません。

Dóriさんはトルコ料理が楽しめるレストラン&カフェが併設されたギャラリースペースで、ユニークで才能にみちた複数のハンガリーデザイナーの作品を展示・販売。

また、彼女は既に運営していたスタジオショップをリニューアルオープンさせたり、Tomcsayi Dóriはご自身が卒業した大学で教鞭をとりながら、若手デザイナーの育成にも携わっているそうです。

東ヨーロッパ文化をデザインに乗せ、ファッションを通して自身のクリエイティブなアイデアを表現し多くの人へ届けていく。

新進気鋭のハンガリー人デザイナー・Tomcsanyi Dóriさんが手がけるTOMCSANYIのクリエイティブな世界と活動に、今後も注目していきたいですね。